process
model
クライアントは、ネジ一本を販売することから事業を始めた企業である。現在では、機械設備に関わる部品の供給だけでなく、顧客の課題解決までを担う企業へと発展している。本計画は、その新しい企業の姿を体現すると同時に、社内外の対話を受け入れる新たな拠点として構想された。
建築は約930㎡の中規模木造建築である。社員同士のコミュニケーションに加え、来訪者との対話を受け入れる場を備えるには、一定の広がりをもつ空間が必要であり、そのため本計画では500㎡を超える規模をもつ中規模建築として計画された。一方で木造建築においては、柱ピッチを6メートル以内とすることが最も経済的な構造ともされている。本計画では、この条件を踏まえながらも、上下階ができるだけ一体となって感じられる空間を実現するため、屋根構造に工夫を加えた。屋根にはCLTパネルを用い、地上で12メートルを超えるスパンをもつ「への字」形状に組み上げたユニットを、1枚ずつ架設する方式を採用している。この構成により、特殊な集成材を用いることなく、無柱こ2階空間を実現した。結果として2階には、将来的なレイアウト変更にも対応できる柔軟なオフィス空間が確保されている。
計画にあたり、プロジェクト担当者だけでなく社員へのヒアリングも行った。従来の拠点は熊本市内にあり、1階が倉庫と店舗、2階が事務所という構成であった。同じ建物で働きながらも上下階の動線は分かれており、1階と2階のスタッフが日常的に交わる機会は少なかった。この上下階の分断が、社内のコミュニケーションやチームワークを築くうえで1つの課題となっていた。そこで新しい拠点では、従来と同様に1階をショップや倉庫、2階をオフィスとする階構成を踏襲しながらも、その関係が混じり合う空間のあり方を考えた。中央には大きな吹き抜けを設け、上下階が互いの活動を感じ取れるようにし、「見る/見られる」関係が自然に生まれる構成としている。さらに社員動線にも工夫を加えた。社員通用口から2階のオフィスへ向かう際には、ショップ上部に設けたブリッジを必ず通過する計画としている。これにより、日常の動線の中でショップ空間を横断することになり、部署を越えた人の気配や活動が自然に共有されるようにした。
空間の表現においては、企業のものづくりの姿勢を建築の構成に重ねている。仕上げを最小限とし、木造の構造躯体を現しとすることで、構造そのものが空間の骨格として現れる計画とした。設備配管や配線も隠蔽せず、木の構造を背景にスチール製の配管が現れる構成としている。機械や部品を扱うこの企業の仕事の風景が、建築の内部にも自然に表れることを目指した。
[写真クレジット]
スライダー © SHIRAKI YOSHIKAZU
1~4 © haruki anami
5~39 ©rhythmdesign





















