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敷地は、中層のテナントビルや集合住宅と低層の民家など様々な密度や用途が混在する、福岡市中心市街地から徒歩圏内のところにある。この土地の所有者であるクライアントから、土地の活用について相談を受け計画が始まった。立地条件を活かした計画とすること、現在の駐車場での賃料収入と同等以上の収入が得られること、初期投資は出来るだけ抑えることなどが求められた。クライアント所有の土地であることから、このような市街地での計画でも、比較的低密度の建築を計画することが可能であった。
私たちは、1階中央に大きな共用スペースを持つ建物を提案した。1階には4つのテナントスペースがあり、2階には、クライアントがこの敷地の近隣で経営している、宿泊可能な料亭とは全く違う価値観で計画された、ゲストハウスがある。すべてのスペースは、中央の共用部を介してアプローチする計画となっている。XY方向に対して過不足無く耐力を満たすように開口部と耐力壁を交互に配置し、それを建築全体を構築するためのルールとした。ひとつルールで全体を構成し、テナント区画の境界が認識しににくい状態とすることで、それぞれのテナントスペースが様々なスケールで感じられる状態がつくれるのではないかと考えた。