Text
「2020年」という遠いようで近い未来。これからの10年を考えることは、遠い未来を射程に「今」を見つめ直すことだと捉えた。この展覧会では、3つのプロジェクトのプロセス模型を思考の履歴として展示するとともに、私たちがこれまでに設計を担当した物件やプロジェクトのクライアント6組に、改めて「つくる前に何を考えていたのか?」と問いかけ、インタビュー形式で答えていただいた。まちや建築ができあがっていく、その背景にはどのような出来事が存在しているのか。デザインや建築の裏側を伝えることを目的として、話を伺った。
まちや建築が出来上がっていく過程に携わったことがない人は、何の意図もなく、自動的にまちが出来上がっているように感じることがあるかもしれない。しかし、主体的にまちにコミットしようとしている人たちや、生活を楽しもうとしている人たちがいるからこそ、まちや建築が生まれているのである。インタビューを通して改めて感じたことは、まちや近隣との密接な関わり合いのなかで人が育ち、そのような関係性の中で育った人たちが、新たなまちや人との関係性をつくるきっかけになっているということだ。この映像を通して建築やデザインの背景に触れることが、ものの「見方/みかた」を変え、まちに主体性を取り戻すキッカケなるのではないかと考えている。
※以下、展覧会開催にあたって、倉方 俊輔 氏[建築史家]より寄せられたテキスト
ここに集まった5人の30代建築家は、これまで福岡県を拠点に一軒一軒、丁寧に設計という仕事を積み重ねてきました。どんな小さな建物でも、それは未来への投げかけです。建築がこうなったらいい。社会がこうなったらもっといい。そんな希望が、優しく込められています。この展覧会では、その希望をはっきりと見せます。思い切って、2020年というテーマを設定しました。10年後に向けて、これまでやってきたことを編集し、建物とまちに対する思いを示します。遠い未来を夢想するのではない、今ここからのマニフェスト(宣言文)。5つの希望を、会場でご覧ください。
インタビュー映像→rhythmdesign on vimeo
1. 今宿の教会 / 宮内 誠二 牧師
2. 二日市の住宅 / 施主
3. KYOYA薬院ビル / 堀 伸惠 社長
4. IMS / 古場 治 氏、武井 哲也 氏
5. 行ノ町テラス / 溝口 まり 氏
6. 若鶴マンション・あさだ荘 / 浅田 英文 氏