Text
第4回目の開催となった2008年は、福岡市中心部天神にある商業施設「IMS/イムズ」という、不特定多数の人たちの目に触れることが出来る場所に、メイン会場を設置することになった。
デザインイベントに限らず、中心を示す場所に何かしらの象徴性を備えることが求められるのは、シンボルとして、全体をわかりやすく代弁することが望まれるからである。これまで見てきた多くのデザインイベントのメイン会場では、中央に著名なデザイナーやデザインを集積することで、その周辺との密度差を演出し、中心としてのインパクトとその時代の象徴性を獲得しているように感じていた。それとは別のアプローチで「中心性や象徴性を獲得することができないだろうか?」と考え、イベントの中心であるメイン会場を辞書の索引のように特定の内容を素早く検索できる「インデックス」として構成した。イベントに存在する全ての情報を等価に、丁寧に取り扱うという行為そのものが、新しい象徴性を獲得出来るのではないかと考えた。
また、段ボールやガムテープ、蛍光灯といった、私たちの身の回りに日常的に存在するもので展示什器を作ったり、倉庫にあった板を無造作に積層しただけのものを設置することで会場を構成している。誰もが慣れ親しんだ材料や無造作なものの集積で美しい状態をつくることが、訪れた人たちに新たな視点を与え、ものの「見方/みかた」を変えるきっかけになればと考えた。