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この計画は、ダムや新幹線の高架橋などの公共土木工事を専門とする会社からの問い合わせからはじまったプロジェクトである。社会的な生活基盤を支える大きな構築物だけでなく、公共土木で培った企業資産(知識や技術)で、住宅のようなもっと身近な場所で生活を支えるものをつくっていきたいという内容のものであった。彼らの会社や実際に施工を行う現場をリサーチする中で、この企業の最大の資産は、目に見える形あるものではなく、無意識の状態で共有されている施工精度や管理品質の高さであると感じた。2006年、プロジェクトには「家プロジェクト」というネーミングが与えられ、私たちの設計業務は、企業の中に建築施工部門を設計することからはじまった。そしてこの「光町の住宅Ⅱ」はプロジェクト第1号であり、この会社が得意とするRC造と建築家が得意とする木造を組み合わせた住宅である。
このプロジェクトでは、土地の取得から設計・工事・住宅を取得するまでの総予算を3000万円以下で実現することを目指し、建築のつくり方や設計基準以外にも、様々なルールを設定していた。カタチなどは決めずに、ルールを商品化出来ないかと考えていた。
惜しくもこの企業は営業を停止することとなったが、将来また、このプロジェクトに関わったメンバーとともに、再び住宅をつくりたいと願っている。