「どのように更新・廃棄していくか?」という時間軸を含む、社会的な構造の中で生産・消費・廃棄が連続的に計画された、新しい建築のあり方、新しい建築のつくり方を目指した。
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北九州市公園トイレデザインの実施設計コンペ案。建築に必要な機能は、地面に鋼矢板を一筆書きするように、連続して厚入することで確保されている。鋼矢板は土厚に耐えることが出来る機能的な材料であり、全長6.0Mの材料を室内側の床仕上げ高さより3.0M深く打ち込み、構造体として安定させている。さらに、屋根に使用したガラスの受け材(T-75×75×5×7)が鋼矢板の振れ止めとしても機能していて、ガラスと鋼矢板の隙間は、空気が自由にするための換気口となっている。
鋼矢板の向こう側は熱容量の大きい土であり、その上部に施された植栽が、夏は日射を遮り、冬は暖かい日差しを届けてくれる。建築が環境に寄り添うことで、出来る限り少ない工程・材料・エネルギーで成立可能な建築を目指した。
私たちは、「環境」とは連続性の計画であると捉えている。この建築の主な材料は土と、通常仮設的な材料として利用される鋼矢板であり、容易に更新や解体ができるように計画されている。ここでは、省エネルギーや3R(リユース・リデュース・リサイクル)、緑化による環境負荷の低減や、室内環境をパッシブにコントロールするといった環境との関わり方だけでなく、「どのように更新・廃棄していくか?」という時間軸を含む、社会的な構造の中で生産・消費・廃棄が連続的に計画された、新しい建築のあり方・つくり方を目指した。