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私たちは、今の経済活動やモノづくりの世界において、登場人物は生産者と消費者しか存在しないことに注目した。つまり、よいものをつくりさえすればよいという生産や、消費が潤えば生産が肯定されるといった経済的側面の強い価値観や思想である。しかし、自然や環境という地球の生態系で考えてみると、生産者(木や森)と消費者(動物)のほかに分解者(微生物)という存在がいて、3者がそれぞれの役割を果たすことによって地球という生態系が持続的に循環していることに気付く。目には見えない「分解者」という存在がいるからこそ木や森が育つのであり、また、その木によって家具をつくることができるのである。
このエキシビションでは、分解の思想を伝えるために、家具を構成する材料は全て国内で生産された自然素材とリサイクル可能な材料、生分解して土に還るものとし、会場の構成にも同様のアプローチを試みた。