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15組のデザイナーが大川の企業とタッグを組み、それぞれ商品開発を行ったものを展示するための空間。ただ単純に完成した家具やデザインを発表するだけでなく、その場所自体が、訪れた人たちの意見やコミュニケーションが加わることで出来上がっていくようなデザインが相応しいのではないかと考えた。
この展覧会は、その後も巡回展示されることが予定されており、設営・撤去・輸送が容易に出来ることが求められていたため、会場全体をオーガンジーの生地で構成した。会場の中央に設置された生地には、木のシルエットが印刷されている。訪れた人たちに手渡されるアンケート用紙は葉っぱ型にデザインされていて、裏に年齢や職業などのデータのほか、どの作品が気に入ったかなどを記入してもらい、木のシルエットに貼ることで投票できるようになっている。木を使ってつくられた家具を通じて生まれたコミュニケーションの集積がスクリーンに反映され、森が育っていく。それは、木製家具で栄えた大川の新しい試みへのメタファーである。そしてつくり手の試みに対しても、自己批評性がもたらされるべきではないかという想いを反映させている。