大洲では、街を取り巻く自然や田園と都市が織りなす地域全体を「テリトーリオ」と捉え、歴史的建造物保存地区の指定に頼らず、自主的に街並みを守り育ててきた。今回の計画もその方針のもと、地域に不足していた商機能のひとつとして位置づけられた。建物は、西洋的な意匠を持つ地域固有の建築であり、初回の現地確認では屋内で傘をさすほどの損傷を受けていたが、「存在するすべてが歴史的景観である」というまちづくりの理念に呼応し、当時の記憶と構造を丁寧に読み解きながら改修を行った。
設計においては、単なる物販のための空間ではなく、四国・瀬戸内の風土や文化を顕在化し、編集・発信する拠点としての場を目指した。什器や展示ディスプレイには、杉とヒノキの地域差、九州と四国の技術・素材の対比など、リサーチから得た気づきを反映している。この店舗は、地域の作り手にとっては「都市生活への出口」、都市の生活者にとっては「地域文化への入り口」となる場であり、地域の人びとが自らの文化を語り継ぐ風景を生み出す装置でもある。
『うなぎの寝床』の編集的実践と、大洲の自律的まちづくりの文脈が交差することで生まれた、新たな文化の拠点である。
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[写真クレジット]
1~2 ©HIROKI KAWATA
3~6 ©︎TAKAHIRO SHIRAMIZU
7~37 ©︎rhythmdesign























