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「BA to MA」展は、モノを「提供したい人」と「手に入れたい人」を結びつけるための場所であり、展示の仕方(編集)に運営サイドが積極的に関与することが特徴の展覧会である。私たちはこの展示会のために5つの建築をデザインした。建築といっても、その場で即興で組み立てたようなラフな建築である。それぞれに特徴をもたせていて、場所によっては視覚での認識と体感が一致しなかったり、実際に存在しないはずの奥行きを感じたり、勝手にそこにはない建築の輪郭線を描いてしまうような、誰もが自由に解釈することのできる建築を目指した。
大きなメッセ会場などで催される見本市や展示会では、システムパネルで区切られたブースが整然と並べられることが多いが、その殆どが「主催者側の運営・管理のしやすさ」を優先的に計画された結果であると言える。できる限り短時間で会場施工を行う必要があるこの種の展示会では、なかなか避けられない設計条件であるが、この非常にユニークな展示会である「BA to MA」では、「設計されたラフさ」をデザインすることで、モノや出来事と出会う「SHOPPING|ショッピング」の楽しさを補強したいと考えた。