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「商い」ということばの本質はどこにあるのか。今では経済的(営利的)側面が拡大し、「利益を得る」ことばかりに重きが置かれているように見える。しかし、もともとは「つながり」を生みその対価として利益を得ていたのであり、「つなげること」の方に意義があったのではないかと考えている。商業施設のような不特定多数が訪れるリアルな場所の可能性は「つながりを生む」ことにあると考え、ただ単に美しいインテリアをデザインするのではなく、「つながり」を補強するような状態の設計を目指した。
once A month[=月1回]は、そのネーミングの通り、毎月1回、20日に商品がガラッと入れ替わることや、全く個性の異なるディレクター3人が商品セレクトを行うことなどが特徴のショップである。それ自体は新しい発想ではないが、この街と関わりの深い人たちとともに仕組みをつくり、「毎月商品が入れ替わる」ということを宣言して、それ自体を商品化しようとする姿勢が新しいと感じていた。
私たちは「スケジュールを商品化する」ために必要な空間のピースを、ひとつひとつオリジナルでつくり、それぞれのピースを組み合わせたり、足したり引いたりすることで、毎月商品だけでなくその背景ごと変わってしまうような状況を設計した。ショップのルール自体が時間とともに変化し、この場所のひとつのテクスチャーのようなものになる。モノやコト、人がつながり、ショッピングを楽しむこのような場所には、「いつでも新しく、いつまでも変わりつづける」、そんな楽しくて軽快なインテリアが相応しいと考えた。