フランクフルトで開催された、日本文化を紹介するフェスティバルのために設計した仮設のパビリオン建築である。『1 material, 1 tradition, 1 idea |1つの材料で、1つの伝統的構法を応用し、1つのアイデアで。』日本古来の伝統的な建築構法と、世界の現代的な木材加工技術を組み合わせることで、誰もが自分の手で簡単に組み立て・解体できる新しい建築の仕組みを実現したいと考えた。
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日本好きの地元の人たちの手によってドイツ/フランクフルトで開催された、日本文化を紹介するフェスティバルのために設計した、仮設のパビリオン建築である。
柱と梁の間に充填された戸(=間戸/マド)が、日本の窓の本来的な意味である。先立って分厚い壁があり、そこに風を通すための穴を穿つ西洋の「窓(=WINDOW)」とは、全く異なる概念である。その日本の「間戸」の概念をベースに、家具以上・建築未満であるファニチャーハウスを構想した。
島国である日本では、身の回りにある限られた材料で場をつくるために、古来から培われてきた伝統的な技術がある。最小限の材料で最大限の場を作るための『仕口』と呼ばれる様々なジョイント方法もその一つである。この伝統的な日本の技術と、ドイツ生まれの現代的なテクノロジーを組み合わせることで、新しい価値をつくりたいと考えた。
1つの材料(木材のみ)で、1つの伝統的技術(木栓による固定)で、1つのアイデア(木槌で叩く)で、誰もが簡単に建築可能な建築キットをつくり、現地へ発送。地元の人々の手によってパビリオンとして組み立てられた。