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福岡を拠点とする老舗企業の化粧品の旗艦店の計画。この建築が位置する大名地区は、江戸時代、福岡城の城下町として栄えた。市街地の中でも昔ながらの地割りが残った細く入り組んだ道や、新しいものと古いもの、住居や店舗が混在する界隈性が特徴で、日常と非日常の接点とも言える場所であるため、まち歩きも楽しめる。
この場所ならではの建築を目指すために、住民にも来街者にとっても日常であり非日常でもある場をつくることと、界隈性とまち歩きの要素を取り入れることとした。
人や商品・サービスを扱う空間を家型にしたり、スペシャルティコーヒーが楽しめるカフェを併設するなど、ショッピングの楽しさを支えつつもショッピングのためだけでない場を作ることで、日常であり非日常でもある空間を設計した。また、まち歩きの連続としてショッピングやアクティビティを楽しめるよう、大名の界隈性を内部に引き込んだような、切妻屋根の家型をモチーフとしたフレームが連続する室内を計画。一つの家型は、緩やかに1つの商品カテゴリーに紐づけられている。