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福岡を拠点とする老舗企業の調剤薬局。福岡市中心部の繫華街にある駅ビル内への移転オープン計画である。駅ビル内という性質上、通勤通学、買い物など様々な目的で行き交う人が多い場所であるため、多忙な人々にも利用しやすいよう、土日祝日や18時以降の処方箋受付、自分の体の状態を知るための機器を設置した健康チェックコーナーの設置、飲み物や市販薬などを購入できるドラッグスストアを併設などが前提条件であった。
立地は通路から奥に向かってクランクした形状の区画である。調剤薬局は通常、入口→待合→投薬カウンター→調剤室となっていて、薬のある調剤室は最も奥に存在するものが多いが、この計画では調剤室を前面に、待合室を奥に設けている。薬のある風景こそが調剤薬局の象徴であると考え、その風景自体をサイン化し、一番落ち着いた環境の奥に待合を配置することとした。
この計画では「調剤」「待合」「物販」という、3つの特徴的な機能が混在しているため、それぞれの、3つのスペースごとに、特徴を持った色彩を計画することとした。待合室には彩度を落としたビタミンカラー、調剤室にはペール調の柔らかな印象のカラー、エスカレーターの目の前の立地にある物販スペースにはよりポップな印象のビタミンカラーを採用。「明るく元気な気持ちにさせながらも、落ち着く空間にしたい」というクライアントの要望を色彩計画で実現した。