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SHIP'S GARDEN

水上公園 SHIP’S GARDEN

福岡市中心市街地にある、東西を川で挟まれた水上公園に建つ建築。クライアントである福岡市からは、都心の水辺空間を活かした建築設計と、市民や観光客に長く愛される公園としての賑わいの場づくりが求められた。建築には、流軸に沿って恒常的に吹く『卓越風』を感じることができる屋根空間を計画。屋根面を積極的に開放し、公園と連続的に利用できる計画とすることで、誰もが自由に無料で楽しむことができる公園面積を減らすことなく、新たな水辺の賑わいの場を創出した。

Process

工事中の水上公園
造成当初と思われる水上公園の様子
SKETCH|FIRST IMPRESSION
SKETCH|FIRST IMPRESSION
STUDY MODEL
STUDY MODEL

Text

 福岡市の中心市街地にある水上公園は、福岡市の第1号の街区公園である。東は県河川『那珂川』に、西は市河川『新川』に面した水際の三角地にあり、南側は大通り(明治通り)に面している。福岡市が推進する中心市街地の機能更新プロジェクト『天神ビッグバン』の東の玄関口に位置し、その第1号となったプロジェクトである。このプロジェクトは、社会実験や民間発案を経て、そこで得られた結果をもとにPark-PFI方式による公募型プロポーザルにより実現した公民連携によるもの。クライアントである福岡市からは、下水道処理施設の敷設のために一度閉鎖した公園を再度オープンするにあたり、都心の水辺空間を活かした建築物の設計と、市民や観光客に長く愛される公園としての賑わいの場づくりが求められた。

 この場所だからこそできる建築のヒントを探すため、公園が面している大通り「明治通り」の歴史を紐解いた。明治通りには、1960年に完成した『天神ビル』、1975年に完成した『福岡銀行旧本店』、1995年に完成した『アクロス福岡』という3つのシンボリックな建築がある。天神ビルには安全な歩行空間を提供するために歩道に面した建物の足元を開放した『ポルティコ』と呼ばれるピロティ形式の歩廊部分があり、福岡銀行旧本店にはコンサートやイベントなど、公共の場として利用可能な巨大なピロティがある。そして、アクロス福岡には、天神中央公園の緑と連続し一体となった屋根上の森がある。いずれの建築にも『公共空間を街に提供する』という通底したテーマがあることから、明治通りは『いかに建築を街に開放するか』の歴史だったと言える。この明治通りの建築の歴史を踏まえ、この場所だからこそ実現可能な賑わいの場づくりを目指すことにした。

 そもそも、公園に建築(休養施設)をつくると、誰もが自由に無料で行き来できるスペースが減ってしまうという問題意識があった。しかし、建築の屋上を開放して公園の延長として利用可能な状態にできたとしたら、元々の公園と同等の面積を自由に行き来できるのではないかと考え、それをこの計画のテーゼとした。

 敷地手前には街と連続的にある公園スペースを、その奥、三角形の形状をした敷地の先端に建築を配置した。建築のモチーフは水上に浮かぶ「船」とし、流軸に沿って恒常的に吹く『卓越風』を感じることができる屋根空間を計画した。屋根面を積極的に開放し、公園と連続的に利用できる計画とすることで、誰もが自由に無料で楽しむことができる公園面積を減らすことなく、新たな水辺の賑わいの場を創出した。非収益部分を敢えて開放することが、来場者に様々な体験を提供することに繋がっている。この屋根に立って振り返ると、九州一の繁華街・中洲の風景を、今までとは違った視点で見渡すことができる。

物件詳細

  • タイトル / 水上公園 SHIP’S GARDEN
  • 計画地 /

    福岡県福岡市中央区西中洲

  • 用途 / 飲食店
  • 状態 / 竣工
  • 計画種別 / 新築
  • 構造 / 鉄骨造
  • 規模 / 地上2階建
  • 敷地面積 / 1,226.66m2
  • 建築面積 / 371.25m2
  • 法定延床面積 / 626.17m2
  • 計画着手 / 2015年6月から
  • 工事竣工 / 2016年7月まで

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